日本で唯一の国立の音楽高等学校である本校は、上野恩賜公園の一帯に位置し、周辺には美術館や博物館など、文化施設がたくさんあります。また、自然豊かな公園では、四季折々の美しい景色を味わうことができます。 1954(昭和29)年の創設以来68年、音楽の早期専門教育への熱意が、今日まで脈々と受け継がれており、国内外で活躍する優れた音楽家が多数輩出しています。当初、お茶の水の地に創設され、作曲、ピアノ、弦楽器、管打楽器の専攻で始まりました。その後、邦楽の専攻が加わり、現在に至っております。なお、大学に隣接する現在の上野の地に移転したのは、1995(平成7)年のことです。 全校生徒約120名の小さな学校ですが、生徒たちは、音楽家になる夢を胸に、日々、自己研鑽に励んでおります。専攻実技の指導にあたっては、東京藝大の兼任教員41名の協力を得て、手厚い指導体制が組まれています。昨年度は一部中止になった行事もありますが、3年生の公開実技試験、2年生の演奏研修旅行、全校生徒による定期演奏会、地域の音楽ホールと提携した演奏会など、演奏の機会は豊かに設けられています。例年では、演奏会の他にも、校外合宿や秋の祭典など、さまざまな活動が展開されて、生徒たちは、日々充実した生活を送っております。 2016(平成28)年度から5年間、文部科学省よりスーパーグローバルハイスクール(SGH)の指定を受け、大学と連携しながら、世界を舞台に活躍する人材の育成のため、海外の音楽家による指導や交流機会の拡充、音楽家として求められる語学力の強化などに力を注いでまいりました。その成果を踏まえて、2021(令和3)年度、初めて教育目標を設定いたしました。「グローバルな視点をもち音楽の力で未来を切り拓く人材の育成」です。ここには、学校で学んだ専門性を生活や社会で生かしながら、たくましく歩む本校生徒の近未来の姿をイメージしたものとなっております。 生徒一人一人が、自分の目標に向かって切磋琢磨している姿は、凛として、清々しいものです。若い音楽家たちの潜在的な能力を、未来に向かって最大限に引き出すことができるよう、カリキュラムの面でも、環境的にも、絶えず改善を図って参ります。音楽とともに成長したいと考える皆さん、ぜひ本校に学びにいらしてください。
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