学校長挨拶
「生徒たちが、実によく発言しますね」
本校の授業を参観した方は、口々にこうおっしゃいます。自律した音楽家の育成を目指す本校では、以前より、専攻実技のみならず、アンサンブルや演奏研究など様々な授業において、主体的、対話的な学習活動を展開しています。
日本で唯一の国立の音楽高等学校である本校は、音楽の早期専門教育への機運が高まった1954(昭和29)年、御茶ノ水の地に創設されました。作曲、ピアノ、弦楽器、管打楽器の専攻で始まり、その後、邦楽の専攻が加わって現在に至ります。大学に隣接する現在の上野の地に移転したのは、1995年(平成7)年のことです。卒業生たちはこれまで、作曲家や演奏家としてはもちろんのこと、教育者、音楽プロデューサーなど様々な形で、日本の音楽界をリードしてきました。2016(平成28)年度には、文部科学省よりスーパーグローバルハイスクール(SGH)の指定を受け、5年間にわたって、大学と連携しながら、海外の音楽家による指導や交流機会の拡充、音楽家として求められる語学力の強化など、世界を舞台に活躍する人材の育成に向けた指導方法の開発に尽力しました*1。
各学年1クラス、全校生徒約120名の小さな学校ではありますが、同じ志をもつ生徒たちは、まさに高山流水、互いをよく理解し尊重し合っています。また、専攻実技は東京藝大の兼任教員から直接指導を受けています。3年生の公開実技試験、2年生の研修旅行、全校生徒による定期演奏会、地域の音楽ホールと提携した演奏会など、演奏の機会が豊富に設けられているほか、校外合宿や秋の祭典など学校行事が多いのも特徴です。
「音楽の力で未来を切り拓こう」という意欲あふれる皆さんに出会えることを、楽しみにしております。
令和5(2023)年6月
東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校
校長 山下 薫子
*1 “音楽の力”で未来を切り拓くグローバルアーティスト育成プロジェクト(パンフレット)
https://geiko.geidai.ac.jp/wp-content/uploads/2021/04/2226fa517fdb7819416d424e25748e58.pdf