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第10回SGHグローバルキャリア講演会実施

この報告は、東京藝術大学Webサイト内「GEIDAI×GLOBAL」にも掲載されています。

3月1日(木)13時より、本校201ホールにて、第10回SGHグローバルキャリア講演会を実施しました。

今回は、元日本航空客室乗務員、桜美林大学専任講師の尾川佳子先生をお招きしました。
客室乗務員として世界を渡られた先生の経験をもとに、世界で活躍する音楽家を目指す本校の生徒たちが持つべき心構えを、さまざまなトピックから気づかせていくような形式で、生徒もよく考えながら講演を聞き、それぞれに強く印象に残る言葉や考え方を見つけることができた様子でした。

Communication & Coordinationの大切さ

講演は「”Communication”って日本語に言い直すと、何?」という生徒にへ問いかけから始まりました。初めは戸惑う様子も見られましたが、次第に鋭い返答も現れ、生徒の返答に対し、先生からは「対話」や「意思疎通」といった、一方向性ではなく双方向性のニュアンスを含んだ表現が近く、語源がラテン語の”Communis(共有の、共同の)”であることを押さえて考えるとよい、と説明をいただきました。これに限らず、ラテン語の理解は英語の理解を助けるというお話も併せて伺うことができました。
世界で活躍するにはCommunication(共有すること)を意識し、さらにCoordination(合わせていくこと)を伴っていることが求められます。先生は、必ずしも毎日同じ人と働くことができない性質の客室乗務員のお仕事を通じて、このことの大切さを実感されたようでした。この点については、演奏家としての生徒たちも近い境遇にあるように感じられました。

GlobalとInternationalの違いと”Glocal”

“Global”は”Globe(球体、転じて地球)”が由来、”International”は”Inter(〜の間の)national(国の)”を意味するので、地球全体で国境を取り払って一つになっていくような考え方の”Global”と、国同士の関わりあいを示す”International”では大きく意味が異なる、と説明がありました。この意味でGlobal化が進む現代において、”Glocal(GlobalとLocalを組み合わせた新しい言葉、その地域の特色・文化を踏まえたGlobal化)”を意識することの重要性を強調されていました。
講演の中では、マクドナルドのGlobal展開では各国の文化に合わせて商品展開をしているという例や、文化の違いからくる挨拶の違い(欧米圏では右手(上位とされる手)を出し合うことで互いを認め合う、日本では頭(急所)を見せることで信頼を示す)の例を題材に、それぞれの人が自分のLocalを良く知って、その上で多くの文化を共生させる「多文化共生」を大切にしてほしいと訴えられていました。
講演の最後には、世界で活躍するにあたって、まずは日本の文化・特徴をよく理解し、「日本人であることを忘れずに世界に羽ばたける演奏家」を目指してもらいたいというメッセージをいただきました。

その他の話題とメッセージ

  • 「ABCの法則」
    A(あたりまえのことを)、B(ばかにしないで)、C(ちゃんとできる)ことが大切。おろそかにしていないか、よく日々の生活を振り返ってもらいたい。
  • 「Communicationを成立させるコツ」
    「伝える」ことを「伝わる」ことにしよう。ちゃんと伝わったか確認する、ひと工夫がとても大切。
  • 日本人の持ち味・長所
    直接の訴えがなくても「相手の考えを察してあげようとする」ことが、とても日本人らしい良さ。客室乗務員時代には「お客様の背中を見て、求めていることを感じ取りなさい」と言われていた。
    そして、根性をもってコツコツと真摯にやること。その姿を他者に見せずとも、努力は必ず伝わる。

質疑応答

  • 邦楽専攻生が英語の習得へのモチベーションを高めるには?
    邦楽では、海外に出て行っても専攻実技を教わることができないかもしれない。しかし、自身の楽器を持って海外を渡り歩けば大いに興味を引くだろうし、英語も自然と身につくかもしれない。海外で教えを乞われるようなことがあれば、その時こそ、英語力が役に立つはず。
  • もし、客室乗務員の業務中に航空事故が発生したらどうする?
    幸い、大きな事故にあったことはないが、お客様が一斉に驚くような状況には直面したことがある。しかし、客室業務員が慌ててしまえばお客様もパニックになってしまうし、冷静になるよう努める。実際、お客様も「今の揺れ、大丈夫なの?」という顔で一斉に客室乗務員の方を見てきたりすることもあるが、笑顔で「大丈夫ですよ」と伝えて見せていた。

この他にも、複数の鋭い質問がありました。
 
 

第9回SGHグローバルキャリア講演会実施

2月1日(木)13時より、本校201ホールにて、第9回SGHグローバルキャリア講演会を実施しました。

今回は、ライアー(Leier)奏者の小倉さち子先生をお招きし、ライアー奏者になった経緯、ライアーとはどのような楽器か、ライアーを使っての音楽療法等についてお話をしていただきました。

講演ではまず、小倉先生の音楽との関わりから話していただきました。音楽大学を出て音楽の教員になったこと、渡仏後、パリ・スコラカントリュムにおいてマダムリテイエにピアノを師事してフランス音楽を学び、帰国後短大保育科で助手を務める中で、ライアーと出会ったこと等を話していただきました。
次に、ライアーの楽器についての説明をしていただきました。楽器が製作されるようになった経緯、ハープとの違い、弾き方、音の特性などと共に、どのようにして音楽療法に用いられるかを説明していただきました。
最後に、実際にライアーを使用しての演奏を聴かせていただきました。
生徒達には、思い切って外国に出て行く、よい励みになったようです。

 
 

第8回SGHグローバルキャリア講演会実施

この報告は、東京藝術大学Webサイト内「GEIDAI×GLOBAL」にも掲載されています。


11月9日(木)13時より、本校201ホールにて、第8回SGHグローバルキャリア講演会を実施しました。

今回は、東京藝術大学グローバルサポートセンターの齋藤佐智江先生と横田揺子先生をお招きし、音楽家を志す学生の留学の状況や、その心構えについてお話しいただきました。

講演はいくつかの章立てで行われました。

1.「なぜ留学をするのか、どうやって留学場所を決めるのか」

藝大生の留学動機は「自分自身のスキルアップにつながるから」、「親の勧めや先輩が留学をしていたから」など人それぞれであり、習いたい先生をみつけて、その先生が所属している学校に進学すると目的が明確になって良いというアドバイスをいただきました。今は、高校生向けの特別講習会や来日中に行う演奏会などで海外の先生と知り合うことができるので、積極的にコンタクトを取ることが重要という説明が印象的でした。

2.「いつ留学するのがよいか」

大学に籍を残したまま(休学)の留学や、高校卒業してすぐの留学、大学卒業してからなど、留学のタイミングにも様々なパターンがあり、自分のキャリアプランに合った方法を選択できることを説明いただきました。また、フランス留学は専攻している楽器によって年齢制限がある場合が多く、その点も配慮して留学を考えたほうが良いというアドバイスがありました。

3.「語学はどれくらいできていればよいか」

それぞれの大学によってどのレベルまで達している学生を受け入れるかの基準があり、特に、イギリスは実技だけではなくて語学関係資格のスコアも重要視するので注意を要するということを教えていただきました。また、これから音楽家として活動する上では、留学する・しないに関わらず語学の理解が大切であり、邦楽の分野でも、海外公演などで世界へアピールしていく際に改めて必要性に気づかされる学生が多いというお話がありました。また、東京藝術大学の音声・言語トレーニングセンターには、諸外国ネイティヴスピーカーの先生方が在籍しており、レベルに合わせた講義を受け、言語習得を目指せることをご紹介いただきました。

4.「留学にかかる費用はどれくらいか」

地域や国によってその現状が大きく異なり、学費は20万円~300万円と非常に幅が広いことをお話しいただきました。また、学費だけではなく、家賃や生活費にも費用がかかるので、寮やルームシェアの利用による費用削減も一つの手段であることを教えていただきました。さらに、奨学金の制度についても、藝大や国の手がけるものだけでなく、留学先の大学が設けているものや国内の財団によるものなど、留学の形態ごとに制度が充実しており、積極的な情報収集と活用をお勧めいただきました。

講演会後には、各学年の生徒から留学に関する質問がいくつも続き、生徒自身が留学への漠然とした考えを整理し、海外で活躍する意義やそのために必要な行動力・語学力について考えるよい機会となったことが伺えました。



「第29回定期演奏会・SGH課題研究発表会」開催

この報告は、東京藝術大学Webサイト内「GEIDAI×GLOBAL」にも掲載されています。

11月4日(土)に、SGH課題研究発表会として、「第29回定期演奏会」を開催いたしました。
今年度は英国より、一昨年にもご指導いただいたドミニク・ウィーラー先生(ギルドホール音楽院)を指揮者としてお招きしました。
定期演奏会は本校において最も重要な位置にある演奏行事であり、SGH指定校としての課題成果を発表する場でもあります。
この演奏会に向け、邦楽専攻・洋楽専攻の全生徒が懸命に練習に励み、本番は845名の観客を迎え大成功に終了しました。

 

 

 

基本情報

日時 平成29年11月4日(土) 14:00開演
場所 東京藝術大学奏楽堂
主催 東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校

 

プログラム

第1部 邦楽合奏

中能島欣一 作曲:「ひぐらし」(山田流箏曲・尺八)
沢井忠夫 作曲:「砧三章」(生田流箏曲)
十代目杵屋六左衛門 作曲:「鶴亀」(長唄・長唄三味線・邦楽囃子)

第2部 オーケストラと合唱

G. F. ヘンデル ジョージ二世のための戴冠式アンセムより
G. F. Handel Coronation Anthems

HWV260 The King shall rejoice
HWV261 My heart is inditing
HWV258 Zadok the Priest

休憩

P. I. チャイコフスキー 交響曲 第5番 ホ短調 作品64
P. I. Tschaikowsky Symphonie Nr. 5 e-moll Op.64
I. Andante – Allegro con anima
II. Andante cantabile con alcuna licenza
III. Valse: Allegro moderato
IV. Finale: Andante maestoso – Allegro vivace

2年生 英国演奏研修旅行


この研修報告は、東京藝術大学Webサイト内「GEIDAI×GLOBAL」にも掲載されています。

基本情報

研修者:東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校 第2学年41名
研修先:ロンドン(イギリス)
研修期間:2017年9月25日-10月2日

海外研修の成果

ロイヤルアカデミー(Royal Academy of Music)でのマスタークラス受講、藝高単独演奏会

9月27日、28日の2日間、ロイヤルアカデミーを訪問しました。
まず27日(水)はロイヤルアカデミーの先生方によるマスタークラスを洋楽専攻の生徒が全員受講しました。先生方の熱意溢れるご指導、お言葉に必死に耳を傾けながら楽しく刺激的な時間を過ごしました。
28日(木)は、歴史あるDuke’s Hallにおいて、生徒全員出演による約2時間の藝高単独演奏会を行いました。この演奏会は、各作品の演奏の前に演奏者が英語でスピーチをするという形式で行いました。邦楽専攻生は日本の伝統楽器の説明も実際に楽器を弾きながら英語で行いました。この演奏会に向けて、英語のスピーチ原稿の作成と当日プログラムといった準備が全て生徒たちの力によって進められ、演奏とスピーチの熱い練習が積み重ねられてきました。試行錯誤の末、数々の困難を乗り越え、本番では練習の成果が多いに発揮されました。現地の聴衆の方々からの大きな拍手に包まれながら達成感を噛みしめるような表情でステージ裏に戻ってきた生徒達は、ここまでの互いの労をねぎらっていました。
研修旅行を迎えるまでの日々、そして現地での活動を通して、生徒たちは言葉では言い表すことのできない喜びを経験し、成長をすることができました。また、国際的に活動する一流の音楽家を志す上で必要不可欠な「英語力」「発信力」の重要性を実感するとともに、異文化の中に身をおくことで音楽においても新たな視点を多く獲得し、次なるステージへの大きな一歩を踏み出しました。

パーセルスクール(The Purcell School)での交流会、交流演奏会

9月26日(火)と29日(金)の2日間にわたり、イギリスの私立音楽学校であるパーセルスクール(The Purcell School)を訪問しました。
26日(火)は12時過ぎに現地に到着すると、生徒による演奏会で本校を迎えて下さいました。それから現地の教員・生徒との昼食の後、生徒による校内見学を経て、14時30分から本校生徒と現地生徒との交流会を行いました。
交流会では英語による本校の紹介を行った後、英語による『作曲家カルタ』を一緒に取り組みました。特に作曲家カルタでは、テーブルごとに本校生徒がパーセルスクールの生徒にカルタのルールを説明したり、一緒にゲームを楽しんだりする様子が見られました。研修委員を中心に、この交流会の企画をはじめ、スピーチ原稿作成やプレゼンテーション作成、カルタ作りまで、すべて生徒主体で準備してきたので、その成果が十二分に発揮できた瞬間だと強く感じました。
また、29日(金)の交流演奏会本番では、現地の様々な方にご来場いただきました。邦楽科生徒による英語での邦楽紹介のスピーチと演奏の際には、現地の方にも非常に興味深く聴いていただきました。邦楽科の生徒も何度も邦楽紹介の英語スピーチを練習してきたので、場を重ねるごとに英語が上達し、ますます滑らかになっていく様をみることができました。その後、パーセルスクールの先生の指揮による『チャイコフスキー交響曲第5番ホ短調 作品64』では、本校生とパーセルスクールの生徒が、言葉の壁を越えて一つの作品に向かう様子が見られ、非常に感動的でした。初日の練習ではうまくいかなかった部分も、本番では見事に修正して演奏しており、2つの国が音楽を通して融合していた50分間でした。